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キャリアを「残り時間の使い方」という観点で考える

キャリアを「残り時間の使い方」という観点で考える

キャリアを「残り時間の使い方」という観点で考える

40~50歳代になると、「人生100年時代、残りの50年をどう生きようか」と考える人は多いのではないでしょうか。

平均寿命であれば30~40年、定年までで考えれば10~20年といったところです。

女性であれば、子供が自立し手があいて再度仕事に就こう、とか、正規雇用社員にチャレンジしよう、といったように考える時期でもあるかもしれません。

ですが、実は、「そんなにまとまった時間は残されていません」

これは、いったいどういうことでしょうか?結論からいうと、認識できる時間の差なのですが、学生時代の1年と比べると、社会人になってからの1年は短いと感じる人がほとんどだと思います。

なぜ、人生の後半戦は瞬く間に過ぎるのでしょうか。

なぜ人生の後半戦はあっという間に過ぎるのか

さて、例えばあなたが50歳になったとしましょう。

人生100年時代だとすると、残りはあと50年でしょうか。

日本の平均寿命で考えると、50歳ならあと30年でしょうか。

健康寿命ということで考えると、もっと短いかもしれませんし、定年であれば10年~15年といったところです。

いずれの答えも、実は違うのです。実際には、そんなにまとまった時間は残されていません。  

どうしてかというと、認識できる時間の速度が後半生になるにつれ加速度的に速くなるからです。これまで感じてきた50年分の時間感覚と、これからの50年の時間感覚はまったく違うものなのです。

これは、「歳を取ると未経験のことが減るから、その分、時間を短く感じる」というもので、「ジャネーの法則」と呼ばれています。

つまり、1歳のときに感じる時間の流れはそのまま1年分であり、2歳のときに感じた1年は、2年間の人生の内の半分なので2分の1に感じる。3歳のときは2歳までに経験したことに対し、新しい1年は3分の1になるので、感じる時間は3分の1になる……というわけです。

ですから100歳まで生きるとしたら、人生全体の体感時間は、100歳をゴールにして合計すると、その値は5.2。

そして40歳までの合計の数値は4.3です。

なんと人生の約83%(=4.3/5.2)がすでに終わっていることになるのです。

しかも、50歳時点では87%終了です。

いささか極端に感じるかもしれませんが、つまり、後半生は前半生とイーブンではないのです。

もちろんこれは、計算上であり、思考実験ともいえると思います。

どのように人生の後半戦を過ごしていくか?

この思考実験からは、2つの学びがありました。

1つ目は、「人生も後半戦になると、時間は大切な希少資源である」というシンプルな考え方です。気が付いてみれば、人生の残り時間はあっという間に終わってしまうということです。

2つ目は、逆手にとればいい、という考え方があります。

つまり、「1年毎に新しい経験をして、新鮮な時間を過ごす」ことで、生きる時間が増えるわけです。

これは、新たなチャレンジが、生きるうえでどれだけ大事なのか、ということを示しています。

視点を変えてみると、ビジネスにおける経営戦略論では、資源は次の5つに分類されます。 「人」「物」「金」「情報」と、「時間」の5つの要素です。

「ヒト」「モノ」「カネ」という言い方はよく聞くのではないでしょうか。

そこで、ビジネスを人生に置き換えて考えてみます。人生における経営資源はいかなるものか。前述の計算式の結果を考えると、人生の後半戦で最も希少になるのは「時間」だということがわかりました。

言い換えれば、「限られた資源」こそが、人生の後半戦を生き抜く戦略の出発点になります。希少だからこそ、有効な活用が重要課題になってきます。

つまり、今後の人生をより有意義に過ごすためには、時間の使い方を変えなければならない、ということです。

社会人を長く経験していれば、仕事の有無にかかわらず、「やるべきこと」はたくさんあるでしょう。しかし、限られた資源の活用としては、これまでの延長線上ではなく、「やりたい事」に積極的に時間(資源)を配分しなければ、あっという間に終わってしまいます。

アメリカの心理学者ハーズバーグが唱えた説に、「二要因理論」というものがあります。

二要因の一つ、衛生要因は、労働条件や給与、対人関係といった、それが整ってなければ不満足を招く要因を指しています。一方、動機付け要因とは、達成感、自己成長、承認といった、やる気やモチベーションにつながる満足を招く要因のことです。  

注目すべきは当然、動機付け要因のほうということになります。キャリア理論の中では、キャリアの後半戦、高年齢に差し掛かってきた時期を「統合」と表する考え方があります。こういった段階では「目に見えないもの」、すなわち充実、やりがいを感じられることに対して、より積極的に希少資源である時間を配分していく方が良いのではないでしょうか。

つまり、後半戦になればなるほど、自分が持っている資源、いわば「自分資産」を知ることが必要になります。つまり自分自身が「持っている武器」を理解しなければならないのです。

自分資産を知る。具体的には、人生の〝棚卸し〞が要るわけです。

人生の棚卸しをするためには

人生の棚卸しをするためには、とにかく自分がやってきたことを書き出していくことが重要です。

棚卸しをしよう

まずは、経験したことをできるだけ具体的に時系列に書き出します。
関わったプロジェクトや、部署での役割についてもできるだけ具体的な数値と共に書き出していきましょう。

職務経歴書は、転職の時に書くイメージがあると思いますが、棚卸しとしても作成すると、自分自身のキャリアの棚卸しをし、見直したり客観的に見ることに十分に役立ちます。

書き出した自分自身の経験を、職務経歴書のように仕上げていきましょう。

自分の経験を書き出した後には、自分自身の経験をまとめた「要約」を作成します。そうすることで、自分自身の中核となる経験は何か、実績は何かということが浮かび上がってくるでしょう。

自分自身の仕事観を明らかにしよう

棚卸しをすると、自分自身が自分自身の蓄積してきたキャリアとして、何をアピールしたいと思っているのか、ということも浮かび上がってきます。

浮かび上がってこなかったら、以下のような問いを自分にしてみてください。

・今までで一番周囲から評価された仕事はなんですか?
・今までで一番達成するのが大変だった仕事はなんですか?
・今までの仕事の中で、自分自身が得意とするパターンはありますか?
・今までの仕事の中で、一番達成感があったのはどんな仕事でしたか?

こういった問いは、自分自身の仕事観を改めて表面化させるのに役立ちます。

問いに答える形で再度振り返ることで、今まで上げてこなかった仕事が上がってくるかもしれません。それも漏らさずリストに加えましょう。

職務経歴の記載順を決めよう

リストが大まかにできたら、書き出していた詳細をまとめたり、記載漏れがないかどうかを確認します。

職務経歴書は、履歴書ではないので時系列でなくても構いません。

経験している会社のうち、もっとも重要な職歴が2社中2社目の場合には、要約、次いで現職として現在の2社目の経歴を記載し、最初の職歴を一番最後に記載するという書き方があります。

転職歴が多かったり、プロジェクトごとに職場が変わっていくような働き方をしている方は、プロジェクトや職業のカテゴリーごとにまとめて記載するという手もあります。

例えば、
「飲食店の新規出店プロジェクト」
   〇年△月~□年×月 A社
   △年〇月~×年□月 B社 PMとして
といった具合です。

こうすることにより、一見転職が多く、バラバラに見える職歴も、経験した仕事ごとに分類され、どんなスキルを蓄えてきたのか、分かりやすくなります。

自分自身でもこういったことは意識しづらいところですから、転職や非正規雇用が多く、自分自身に誇れるものはない、と思っていらっしゃる方も、自分のスキルを再確認できるかもしれません。

要約を作成しよう

そうやって作業をしているうちに、「要約はこうやって直した方がいいかも」「こんなことを追加で書いてみよう」「こういうことを積み重ねてきたんだから、追加でこういうスキルを身に着けてみよう」といった考えが出てくるかもしれません。

私達キャリアコンサルタントは、勉強の過程の中で、こういった職務経歴書について自分自身のものを作成してみて、それを使って一緒に勉強している仲間とカウンセリングの練習をする、なんてことをします。

そのような作業を重ねることで、自分自身の仕事観や、得意なこと、やりたいことなど、今後のキャリアについての自分自身の目標や希望のようなものが明らかになっていくのです。

勉強しつつ、自分の仕事の棚卸しをした経験は、自分自身にとってもよい経験になりました。転職意欲の有無に限らず、こういった棚卸しをすることで、人生の後半戦を戦っていくのに必要な戦略を考えていくことに役立つでしょう。

いかがでしたでしょうか?

自分の残り時間をどう自覚するか、どう考えるか、何をしたいのか、どんな自分になっていきたいのか、そんなことを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

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