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他国はどうしてる?女性のキャリア支援制度

他国はどうしてる?女性のキャリア支援制度

他国はどうしてる?女性のキャリア支援制度

2023年1月、岸田総理大臣は、日本の労働力がグローバルな競争力を持つためには、リスキリング(再教育・再研修)の重要性を強調しました。

具体的には、個々人が自己啓発し、新しい知識やスキルを身につけ、適応力を高めることで、労働者としての価値を高め、職場や社会全体の生産性を向上させることができると述べました。また、政府としては、教育環境の整備や職業訓練制度の充実など、リスキリングを支援する施策を進めることが必要であると語りました。

この発言については、育児休暇中のことについて言及したので炎上状態になりましたが、主旨としては、それに限らず、リスキリングの重要性について述べています。

今回は、女性のキャリア支援制度について、各国の動静についてご紹介したいと思います。

1 アメリカ合衆国

アメリカにおいて女性に対するキャリア支援制度は多岐に渡ります。例えば、女性が働きやすい職場環境を整備するために、企業が導入する「フレックスタイム制度」や「テレワーク制度」などがあります。

また、女性が出産や育児などのライフステージに合わせて仕事と家庭を両立するために、育児休暇をはじめとする各種の家族支援制度があります。

さらに、女性がリーダーシップのポジションに進出しやすくなるよう、女性のキャリアアップを支援するプログラムやイニシアチブもあります。

例えば、「ウィメン・イン・リーダーシップ(Women in Leadership)」や「ウィメン・イン・テクノロジー(Women in Technology)」などの団体があり、女性がリーダーシップのポジションに就くために必要なスキルやネットワークの構築を支援しています。

ただし、アメリカでも、男女間の賃金格差や、女性が昇進しにくい職種やポジションが依然として存在するなど、課題も残されています。

政府や企業などが積極的に対策を取り、より包括的なキャリア支援制度を整備していくことが求められています。

2 イギリス

イギリスには、女性に対するキャリア支援制度が複数存在しています。

1つ目は、「キャリアアドバイザー」の制度です。キャリアアドバイザーは、個人に合わせたキャリアのアドバイスを提供し、求職者のスキルアップや雇用先の探し方をサポートします。また、就職前の若者には、学校や地域の若者センターでキャリアアドバイザーが提供されています。

2つ目は、女性向けの起業支援制度です。イギリス政府は、女性の起業を促進するために、融資制度やアドバイスなどの支援を提供しています。また、女性起業家を表彰する「ウーマン・オブ・ザ・フューチャー・アワード」という賞もあります。

3つ目は、「女性のためのリーダーシップ研修」です。イギリスの一部の企業や団体では、女性リーダーの育成に力を入れており、リーダーシップに必要なスキルや知識を身につけるための研修が提供されています。

ただし、イギリスでも男女格差はまだ残っており、特に女性の上級管理職の割合は少ないとされています。今後もより包括的な取り組みが求められるでしょう。

3 フランス

フランスでは、女性が出産後に職場復帰するための育児休暇や、子育て中の女性が働きやすいように職場が配慮する「育児休業法」があります。また、女性がより働きやすい社会を目指して、男女平等を推進する法律があり、女性が職場で不当に差別された場合には罰則が科せられます。

さらに、フランス政府は、女性が経済的に自立しやすい環境づくりに取り組んでいます。女性が起業するための支援制度や、女性のキャリアアップを促進するための研修プログラムなどがあります。また、女性が管理職に就く機会を増やすための政策も進められており、公共部門や大企業では、一定の割合の女性役員を確保することが求められています。

4 ドイツ

ドイツでは、女性のキャリア支援を目的とした制度として、以下のようなものがあります。

共同育児制度:育児休業を男女が半々に分けることができる制度で、男性が育児に参加しやすくなり、女性のキャリアアップを支援します。

女性管理職ポジション創出のための法律:企業に対し、女性管理職ポジションの創出を義務付ける法律があります。また、企業が自主的に創出目標を設定することも推奨されています。

メンター制度:女性社員に対し、経験豊富なメンターをつけることで、キャリアアップの支援を行います。

フレキシブルな働き方の促進:テレワークや時短勤務など、柔軟な働き方が企業によって推奨されています。これにより、女性が仕事と家庭の両立をしやすくなります。

これらの制度により、ドイツでも女性のキャリアアップを支援する取り組みが進んでいます。

5 韓国

韓国では、女性に対するキャリア支援の取り組みが盛んに行われています。具体的には以下のような取り組みがあります。

女性管理職登用促進
韓国では、女性管理職の比率が低いことが課題となっています。そのため、政府や企業が女性管理職登用のための施策を実施しています。例えば、政府が定めた法律により、一定以上の従業員数を持つ企業は、女性管理職の割合を一定以上にすることが義務付けられています。

育児休業制度の拡充
韓国では、育児休業を取得する男性はまだ少なく、女性が育児休業を取得した場合にはキャリアアップに影響が出ることが多いため、育児休業制度の拡充が進められています。例えば、2019年には育児休業期間が最大1年間まで延長されました。

キャリア支援センターの設置
政府が運営する「女性雇用支援センター」や企業が設置する「キャリアセンター」など、キャリア支援のための施設が設置されています。こうした施設では、職業紹介や履歴書の書き方、面接対策などのサポートが行われています。

女性起業家支援
韓国では、女性起業家の創業支援に力を入れています。政府が支援金を出したり、女性起業家向けのアクセラレータープログラムを実施するなどの施策があります。

これらの取り組みにより、韓国では女性の社会進出が進んでいますが、まだまだ改善すべき課題があります。例えば、女性の労働市場での賃金格差は大きく、男女格差によるキャリアの途切れなどが問題となっています。

6 中国

中国では、女性のキャリア支援の取り組みが進んでいます。具体的には、以下のような取り組みがあります。

女性管理職登用促進政策の実施:企業が女性管理職の登用に取り組むことを促す政策が導入されています。例えば、一定以上の企業規模を持つ企業は、女性管理職の登用目標を設定することが求められています。

育児休業制度の充実:育児休業制度の利用を奨励する政策があります。育児休業を取得した女性が復職する際には、雇用を継続することが法律で保障されています。

キャリア支援施策の提供:女性のキャリアアップを支援する施策が導入されています。例えば、女性専用のキャリア支援センターが設置されたり、女性向けの経営者育成プログラムが実施されたりしています。

性別による差別の禁止:中国では、性別による差別は法律で禁止されています。女性が職場で不当な扱いを受けた場合には、訴えることができます。

しかし、一方で、男女の雇用格差が依然として存在するなど、女性のキャリアアップに関して課題もあります。また、女性が出産や育児のために職場を離れることが多いことから、育児休業後の職場復帰が難しいという問題もあります。

7 フィンランド

フィンランドは男女平等の高い水準が知られており、女性に対するキャリア支援制度も充実しています。例えば、以下のような制度があります。

育児休暇制度の充実
フィンランドでは、女性だけでなく男性も育児休暇を取ることができます。また、育児休暇期間中は、社会保険が支給されるため、経済的な負担が少なくなっています。

幼児教育・保育の無料化
フィンランドでは、幼児教育・保育が無料で提供されています。これにより、女性が子育てをしながらも、働き続けることができる環境が整っています。

パートタイム労働者への支援
フィンランドでは、パートタイム労働者に対しても社会保険が支給されるため、女性が子育てをしながらでも、一定の収入を得ることができます。

クオータ制度の導入
フィンランドでは、政府機関や上場企業の取締役会において、女性のクオータ制度を導入しています。これにより、女性が経営の中心に立つことができ、女性のリーダーシップが育成される環境が整っています。

フレキシブルな就業制度
フィンランドでは、フレキシブルな就業制度が導入されています。例えば、テレワークやフレックスタイム制度などがあり、女性が自分のライフスタイルに合わせて働きやすい環境が整備されています。

8 スウェーデン

スウェーデンは、男女平等に非常に重きを置いた社会であり、女性が活躍することを支援する制度が整備されています。そのため、女性に対するキャリア支援制度も充実しています。

例えば、スウェーデンでは、保育園や幼稚園が無料であるため、女性が育児と仕事を両立することが容易になっています。また、男女平等を推進するために、父親にも育児休暇を取得するように奨励しています。育児休暇を取得する際には、男性も女性と同じように給付金を受け取ることができます。

さらに、育児休暇後の復帰を支援するために、育児休暇期間中に雇用保険に加入している女性は、子育て支援金と呼ばれる給付金を受け取ることができます。また、女性が出産や育児休暇後に復帰する場合、子どもを保育園や幼稚園に預けるための費用を補助する制度もあります。

さらに、スウェーデンでは、男女平等を推進するための政策として、男女が同じ仕事をしている場合には、同じ賃金を支払う「同一賃金原則」があります。また、女性が出産や育児休暇後に復帰する際には、柔軟な労働時間やテレワークなど、働き方の選択肢を提供する企業が多くあります。

これらの制度が整備されていることにより、スウェーデンでは女性が活躍することが容易になっており、女性のキャリア支援につながっています。

9 オーストラリア

オーストラリアでは、女性のキャリア支援を目的とした様々な制度が存在しています。例えば、以下のようなものがあります。

>女性に対する職場での平等な待遇の確保
オーストラリアには、男女同一賃金を実現するための法律があります。また、雇用主は、女性が妊娠・出産をすることができるような柔軟な労働環境を整備することが求められています。

>女性に対するキャリア支援のための政策
オーストラリア政府は、女性に対するキャリア支援のために、以下のような政策を実施しています。
  ・女性が職業生活を継続できるような育児休業制度の導入
  ・女性が職場復帰しやすいような職業訓練の提供
  ・女性が自分のキャリアを追求するための資金援助

>女性起業家支援制度
オーストラリア政府は、女性起業家を支援するために、以下のような制度を設けています。
  ・女性起業家向けのアクセラレータープログラムの実施
  ・女性起業家に対する資金援助
  ・女性起業家向けのマッチングサービスの提供

以上のように、オーストラリアでは、女性のキャリア支援に力を入れた政策が展開されています。しかし、実際には、男女間の賃金格差や職場でのハラスメントなどの課題も依然として存在しており、今後も取り組みが求められています。

10 トルコ

トルコでは、女性の雇用機会を拡大するための政策が取られていますが、男女間の格差がまだ大きく、女性の雇用率も低い状況が続いています。

一方で、トルコでは女性起業家を支援する取り組みも行われており、女性向けの融資制度や起業家のスキル向上のための研修プログラムなどが提供されています。また、女性が働きやすい環境づくりのために、保育所の整備やテレワークの推進なども進められています。

ただし、トルコ社会には伝統的な性別役割分担の価値観が根強く、女性が家庭や子育てに専念すべきだという意識が依然として存在します。そのため、女性がキャリアを追求する上でのハードルは高いとされています。

11 ブラジル

ブラジルでは、女性のためのさまざまなキャリア支援制度があります。

>女性のための起業家支援
ブラジル政府は、女性の起業家を支援するために「Mulher Empreendedora(女性起業家)」プログラムを設立しました。このプログラムは、女性起業家に向けたカウンセリングや、ビジネスプランの策定、資金調達のサポートを提供しています。

>女性のための教育支援
ブラジル政府は、女性のための教育支援プログラムを実施しています。このプログラムでは、女性が教育を受けることを促進するため、奨学金や留学支援を提供しています。

>女性のための就職支援
ブラジルでは、女性のための就職支援制度もあります。たとえば、女性のための求人情報を提供するポータルサイト「Portal da Mulher Empreendedora(女性起業家のポータルサイト)」があります。また、女性のための職業訓練プログラムも提供されており、さまざまな職種での就職に役立つスキルを習得することができます。

>女性のための育児支援
ブラジル政府は、女性が仕事と家庭を両立するための育児支援制度も整備しています。たとえば、育児休暇制度があり、女性は出産後120日間の育児休暇を取得することができます。また、育児休暇中の給与の一部を補填する制度もあります。

これらの制度があることにより、ブラジルの女性はより多様なキャリア選択肢を持つことができます。

12 南アフリカ

南アフリカでは、憲法が男女平等を保障しており、男女雇用平等法が存在します。また、2005年には、男女平等と経済発展を促進するためのフレームワークが導入されました。このフレームワークでは、女性の労働市場参加を促進し、男女間の賃金格差を縮小することが目指されています。

具体的には、労働市場における男女の差別を禁止する法律や、女性の起業家支援プログラム、女性のためのスキルアッププログラム、女性のためのネットワーキングイベントなどが導入されています。また、女性に対する資金援助もあり、女性の起業家やビジネスリーダーを支援しています。しかし、女性の政治的な参画や指導的なポジションにおいては、男性に比べてまだまだ不足している現状があります。

13 日本

日本の女性に対するキャリア支援制度としては、以下のようなものがあります。

女性活躍推進法:2015年に制定された法律で、女性の社会進出を促進することを目的としています。企業に対して、女性の登用促進やワークライフバランスの充実など、様々な取り組みを行うよう義務付けています。

男女共同参画会議:内閣府が設置する委員会で、男女共同参画社会の実現に向けた提言を行っています。政策や制度の見直し、意識改革の推進など、様々な方面で活動しています。

女性管理職登用加速プログラム:女性管理職を増やすために、内閣府が企業に対して支援するプログラムです。女性管理職候補者の育成や、企業の経営者に対する啓発などを行っています。

女性向けの就職・キャリア支援:各種就職支援団体や就職サイトなどで、女性向けの支援プログラムが行われています。女性がキャリアアップしやすい環境づくりや、職場でのハラスメント対策などが取り組まれています。

しかし、現在でも女性の社会進出やキャリアアップには課題が残されています。女性の出産や子育てなどがキャリアに影響を与えることが多いことや、女性が男性よりも低い賃金で働いていることなどが挙げられます。今後も、より良いキャリア支援制度の整備が求められています。

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