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コロナ離職と女性のキャリアを考える

コロナ離職と女性のキャリアを考える

コロナ離職と女性のキャリアを考える

2020年から始まったコロナ禍と言われた2年間(掲載当時、継続中…)は、女性のキャリアを考える上でも非常に重要・重大な2年間でした。

コロナ離職と呼ばれる現象も起き、日本では女性の貧困率が高まったという報告もありました。

今回は、収束を徐々に迎えつつあるこの時期に、一度この2年間を振り返ってみたいと思います。

1 コロナ離職

コロナが本格的に流行した2020年では、労働者に占める離職者の割合が入職者の割合を9年ぶりに上回った年でした。なお、前回離職率が入職率を上回ったのは東日本大震災が発生した2011年です。

日本にとって、東日本大震災は非常に大きな出来事でした。それと匹敵する状況というのは、欧米に比べ、感染者が少なかった日本においても、コロナウイルスが社会に大きな影響を与えていたと言えるでしょう。

もちろん離職理由はコロナだけではありませんが、コロナの流行が開始した年に離職率が入職率を上回った事実は、コロナが離職の要因になっているという推論を成立させています。

実際に厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」における「入職と離職の推移」をみると、コロナ流行前の2019年とは入職率と離職率が逆転していました。

2020年は離職率が入職率を上回っているだけでなく、入職率がコロナ前と比較して約3%も低下しています。

前年比で入職率がここまで落ち込むのは、あのリーマンショック直後よりも大きな落ち込みです。つまり離職者が増えただけでなく、入職することが難しい年でもあったことがわかります。

なお、一般労働者とパートタイム労働者で分けてみたところ、前年比で差が開いているのは、パートタイム労働者であることがわかりました。

2020年のパートタイム労働者の離職率は2019年よりも数値が低いものの、入職率自体が7%も低下しています。一般労働者はコロナ前とは約1%の差にとどまり、かつ入職率と離職率は同率です。つまり、コロナによる離職はパートタイム労働者への影響が大きいことがわかりますね。

一方、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報」として、都道府県労働局の聞き取り情報やハローワークに寄せられた相談・報告をもとに「雇用調整の可能性がある事業所数」と「解雇等見込み労働者」の動向を集計し、報告しています。

雇用調整とは、当面休業を念頭に置きつつも、不透明な経済情勢が続けば解雇等も検討する意向の事業所が含まれています。

当初の集計結果と比較すると、わずか5ヶ月で雇用調整の可能性がある事業所数は約4倍、解雇等見込み労働者は約5倍に増加していました。コロナが流行した2020年には約1.2万の事業所、約8万人が解雇見込みの状況にあったのです。

さらに、下記は業種別にみた雇用調整の可能性がある事業所数と解雇等見込み労働者数です。なお、累計数の多い上位としては、製造業、飲食業、小売業、サービス業です。上位10業種には医療・福祉業界も含まれています。

自治労本部・衛生医療評議会が行なった「コロナ禍における医療従事者の意識・影響調査結果」によると、約7割の医療従事者が離職を検討していることがわかりました。

医療・福祉業界は、エッセンシャルワーカーとして、このコロナ禍でも注目を浴びていた業種ではありますが、感染対策等で業務にかかる負担が増えることで燃え尽きてしまう方がいる一方、材料費等の高騰や、受診控えなどもあり、医療機関等でも赤字経営に移行してしまったところも実は多いのです。

経営的な影響があれば、業務として忙しかったとしても、雇用調整をせざるを得ない、という状況になってしまうのかもしれません。

そして、2021年の集計を見ると、1年で雇用調整の可能性がある事業所数は約10倍、解雇等見込み労働者数は約1.5倍に増加しています。2021年に増加数の多かった業種では、事業所で「建設業」「製造業」「飲食業」が、労働者で「娯楽業」「小売業」「製造業」がトップ3にランクインしています。

2 コロナ禍で需要が伸びた業種とは?

一方、コロナ禍で需要が伸びた業種もあります。

例えば、医療・衛生用品業界です。
マスクを始めとして、ハンドソープや消毒液を販売している業界は、需要が大きく伸びています。一時期、これらが店頭からなくなり、転売業者が高値で販売して規制されたことなども、大きなニュースとなったことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

その後、各企業・各方面の努力により、供給が追いつくようになりましたが、しばらくは安定して伸び続ける業界と言えるでしょう。

次に、IT業界です。
ソーシャルディスタンスの維持が求められ、政府からもテレワークが推奨された結果、関連するシステム、機器、サービスを取り扱う業界は大きく伸び続けています。

加えて、今まで人力で行っていた様々な業務をIT化し、省力化を目指すような動きが活発になってきており、ITまわりの業界は全体的に伸びてきています。これは、日本の人口減少の影響も受け、今後もより重要性が高まっていきます。

そして、物流系の業界です。
ここ数年「フリーマーケットアプリ」などのサービス系ビジネスが急成長してきた中、新型コロナウイルスの影響によって「外出」がはばかられ、各大手のEC事業者に加えて「個人間」での取引も急増してきました。メルカリやヤフオクなどのサービスの台頭です。

それに伴い、ネット通販に関わる市場や業界が全体的に大きく伸びました。また、それらの影響によって物流系の需要も大きく伸びており、最近では、大手のEC事業者が、独自の物流網を構築するなど、各社が力を入れて対応しています。アマゾンや楽天がその筆頭になります。

IT業界と連動しているという意味では、白物家電などの分野では、外出を控える動きにあわせて需要が拡大しました。半導体や、部品不足で供給に不足もあるようですが、自粛期間やテレワーク普及の影響で、自宅にいる時間は長くなっていたことが影響しています。

そして、家の中でできる娯楽として需要が拡大したゲーム業界も好況です。

メタバースなどへの注目もあり、ソフトだけでなく、ハード面でも多く機器が販売・普及していっています。

今回ご紹介したように、コロナ離職がクローズアップされていますが、同時に好調な業界あります。

残念ながら雇止めや解雇をされてしまった方も、こうした情報収集を行うことで、今までのキャリアを活かした環境が見つかるかもしれません。

探し方はニュースを広く読むことや、求人情報を見てみて「今どの業界が好調なのか」「求人が多い業界はどこか」などを自分なりに考えてみることが重要かも知れません。

自分自身のキャリアを考えた時に、自分の価値観や能力、理想像と合う業界を、しっかりと見極めていく必要性があります。
★ご相談はお気軽にお寄せください

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