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女性のキャリア継続に必要な介護の知識

女性のキャリア継続に必要な介護の知識

女性のキャリア継続に必要な介護の知識

女性のキャリア形成の壁として代表的に取り上げられるのは、妊娠出産育児ですが、実はもう一つ、大きなライフイベントがあります。

それが「介護」です。現在は核家族化しており、同居した父母の介護、というのは昔ほど多くありませんが、そういったライフイベントをきっかけとして同居を始める、など住環境や家族の形が大きく変わるということがあります。

介護休暇についても、制度化されてきていますので、制度についての理解をしつつ、このライフイベントを乗り越えていくために必要な情報について、ご紹介していきたいと思います。

1 高齢化の問題は他人事ではない社会問題

高齢化社会、高齢社会、などの言葉は皆さん聞いたことがあるのではないでしょうか。

実は、日本は高齢化社会はとうに超え、高齢社会も通り過ぎ、超高齢社会になりました。

言葉の定義しては、高齢化社会が65歳以上の高齢者の割合が「人口の7%」を超えた社会、65歳以上の高齢者の割合が「人口の14%」を超えた社会を「高齢社会」と言います。

日本では、1995年の時点に高齢化率14.6%を超えました。そして、65歳以上の高齢者の割合が「人口の21%」を超えた社会を超高齢社会と呼び、日本は2010年には超高齢社会に突入しました。ちなみに、2016年には27%を超えています。

実は、この高齢化については、日本は世界一を記録しています。日本の次は、イタリア、福祉大国と呼ばれるスウェーデンと続きます。アジアで見ますと、日本の次は韓国、シンガポールが続きます。

日本の特徴はその比率だけでなく、そこまでに到着するスピードが桁違いに早かったことも挙げられます。7%から21%を超えるまでにかかった時間が日本は24年、高齢化率が世界2位のイタリアは61年です。速度が2位のドイツですら40年ですので、日本がいかに早いスピードで高齢化率を上げていったのかがよくわかります。

ひとまず、何故高齢化が進んだのがはさておいて、単純計算で3人に1人が65歳以上ですので、高齢化するに従い増える介護が必要になるリスクも増えていくので、全く他人事ではない、というのが介護休暇なのです。

特に、晩婚化等の影響から、育児と介護が同時に来るダブルケアと呼ばれる状態になる方も少なくありません。

私は普段病院に勤務していますし、業界としても超高齢社会をどう生き抜いていくか、また、この超高齢社会というのは多死社会でもあるので、どうこの問題と対峙していくかについては非常に大きな問題であると思っています。

そして、妊娠出産育児と最も違うのは、介護が必要になるというライフイベントは「突然」やってくるということです。妊娠は数か月かけて準備をしながら環境を整えていく必要性がありますが、例えば自分の父親が脳梗塞になって入院した!母親が転んで骨折した!というようなことはある日突然やってくるのです。

  その為、医療と介護の知識は、事前に一定程度知っておくと安心です。

2 あると安心する医療と介護の知識

今回は、両親等の家族が病気になった時を想定して、ご紹介していきます。制度そのものの説明ではなく、皆さんがそのような状況になった時に助けてくれるキーパーソンをご紹介したいと思います。

① 医療の知識
現在の医療は、非常に細分化されており、一つの病院で全てを担っていくことは多くありません。

病状の不安もある上に、経済的な不安、自分の仕事との両立の問題など非常に多くの問題を抱えてしまうことになります。

その中で、非常に安心材料になるのが高額療養費制度です。年収によりけりですが、月の医療費が一定額以上になった場合に、その差額分が支給される制度です。もちろん、おむつ代や差額ベッド代などについてはその対象になりませんが、医療費分が削減されることで大きく金銭的な負担が減ります。

これは、海外にない日本が国民皆保険制度を引いているからこそ実現できる制度です。アメリカなどの国では、保険は自分が入っている保険で賄うしかない場合があり、その場合は保険の種類により受けれる医療が異なってくるということになります。

また、日本にはこういった困りごとの相談に載ってくれる専門家がいます。一般的にはメディカルソーシャルワーカーと呼ばれる方です。

もし、ご家族の入院等で不安に思うことがあれば、主治医や担当看護師にメディカルソーシャルワーカーに相談に載ってほしい、と申し出ることで、相談が可能になってきます。予め担当者が付く病院も多い上、多くの知識を持っていますので、安心して相談していただければと思います。

ちなみに、精神科への入院の場合は、メディカルソーシャルワーカーではなく、精神保健福祉士という別の専門家がいます。こちらも同様に、制度や経済的な問題の相談まで関わってくれるため、困ったことがある場合には、抱え込まずに相談をしてください。

② 介護の知識
医療の期間を過ぎ、自宅に帰る、あるいは施設に入る、などになった場合は、特に65歳以上の方の場合の多くは介護保険を使って、その後の生活を支えることになります。

皆さんも40歳を過ぎると介護保険の徴収が始まり、お金を納めているはずです。

医療保険と違い、介護保険は申請をしてから支給される形になりますので、病院にいる間に介護認定調査、というのを受けて介護保険のレベルを設定していきます。医療保険と違い、申請が必要で、尚且つ更新も必要で、また、レベルにより支給内容が異なるのも大きな特徴になっています。

申請をし、認定調査を受け、その後判定会議を経てレベル(要支援、要介護1~5など)が決まりますので、一定程度時間がかかるのもポイントです。これは自宅に帰る時だけでなく、施設入所にも必要な手続きになります。しかし、これを普段過ごしている中で知識を得ていくことは難しいのも現状です。

そこで、登場する専門家が、ケアマネジャーです。ケアマネジャーの多くは別の医療・福祉職として働いていた方で、その専門知識に追加して制度の知識・支援の知識を持っています。ケアマネジャーを決めて様々なサービスをどうやって、どのくらい入れていくのか、等について検討していくことになります。

入院中に相談をしていくことが多いと思いますので、心当たりがない場合は、病院のソーシャルワーカーに尋ねてみるのが良いでしょう。

3 少しでも安心して過ごせるように

このように、日本は医療と介護が皆保険であるために、ほとんどの方が医療を平等に受けることができます。

 しかし、冒頭で述べたように、日本では超高齢社会をすでに迎えており、この医療と介護の問題は多くの人にとって他人事ではありません。産前産後休業、育児と最も違うのは「明確に期限が決まっていない」ことが特徴です。介護が数か月で終わることもあれば、数年、数十年続く、ということもありますし、概ねの場合、介護を受ける方が高齢であることが多いので、その労力は徐々に増えていくのです。

 法的に介護休暇が整備されてきているとは言え、「介護離職」が問題になるほど、現状としては厳しい状態にあります。

 自分の親家族の面倒は、自分でみないといけない、あるいは、「嫁」がやるべき、という考えの方もまだまだ多いのが現状です。そうなると、特に女性は自分が離職する、あるいは働き方を制限して対応せざるを得ない、あるいはそうするのが当然であると考えてしまいます。

 もちろん、時期によってそのような状況はあり得るでしょうが、今後介護する側の人生も継続していくことを考えないといけません。生活にも、介護にもお金がいるというところも非常に大きなポイントになります。そうなると、家族とプロが手を取り合って生活を支えていく形をもっと模索していく必要性があると思っています。

 自分で介護をせず、人の手に任せてしまうことに罪悪感がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、プロはやはり熟練の知識・技がありますので、実は介護をされる方も家族に負担をかけてしまうより、プロに頼んだ方が心理的にも身体的にも楽だと言いう方もいるのです。家族は、大事な時間を一緒に過ごせる方に専念した方が、お互いにとって良い面も多いものです。

 抱え込まず、安心してお互いに生活できるように、専門家の力を是非借りていただきたいと思います。

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