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女性のキャリア、出世したくないなんてアリ?

女性のキャリア、出世したくないなんてアリ?

女性のキャリア、出世したくないなんてアリ?

女性のキャリアを考えた時に、出世を考えていない、できればしたくないなんて方は昨今珍しくありません。

「出世したら、今よりもずっと忙しくなってしまう」
「産休育休が明けて時短をやっている間に、後輩に抜かされてしまった。今更昇格なんて」
「昇格して責任ばかり重くなる。それなら家庭中心でいいかも」
「夫は激務だし、自分も仕事が忙しくなったら、子供に寂しい想いをさせてしまうかもしれない」
「もう一人子供が欲しい。これ以上忙しくなったら、それも難しいかもしれない。だけど、教育費を考えたら働くことは続けないと……」

核家族化した上で、共働き世帯が多くなっている昨今、キャリアについての悩みは尽きません。

キャリアは、昇給する、昇格するなどキャリアアップだけを指すものでなく、それぞれが自分自身の価値観に基づき、より自分らしい状態を選んでいけるように考えられることが必要です。

今回、出世の意欲に関して、キャリアをどう考えていくかについてご紹介をしたいと思います。

1 出世したくないのはなぜ?

働く人への意識調査を毎年1万人規模で行っているパーソル総合研究所の報告では、現在働いている人の78.6%の人が出世したくないと答えていると報告されています。

また、公益社団法人日本生産性本部が発表している「平成31年度新入社員働くことの意識調査結果」では、役職に就きたくないという方が6.9%、どうでもよいという方が16%いて、実に22.9%の新入社員が出世したいと思っていない、あるいはそこに関心を払っていない、ということが報告されています。

これは新入社員に対しての調査結果ですが、彼ら、彼女たちは何故そんなに出世したくないのでしょうか?

実は、この数値は世界的に見ても(パーソル総合研究所報告)非常に少ない数値なのです。アジア‐パシフィック圏では、実に14位で、1位のインドの86.2%と大きくかけ離れていることが判ります。

若い方については、終身雇用の考え方も少なくなっていることから、一つの会社で管理職になっていくイメージをそもそも持っていないという可能性もあります。

そういった世相を反映して、ポータブルスキルを身に着けたい、会社に甘える生活はできない、といった回答も見られました。

一方、人になんて言われても自分らしく生きたい、という回答もあることから、主に外的キャリアでなく内的キャリアを重要視している現状もあるのかもしれません。

ロールモデルも画一的でなく、多様化してきていることも一因なのかもしれません。今はSNSなども含めてインターネットで多様な情報に触れることができます。

取捨選択は必要ですが、検索をすることで情報を入手できる今、自分の身近にあるロールモデルだけを選択しなければならないということもないのかもしれません。

そうなると、「自分の上司をロールモデルにする」から、「自分も昇格していくことを目指す」という公式が成り立たなくなっていくのかもしれません。

一方、女性はどうでしょうか。

女性が出世したくない理由として、家事育児・介護の時間を捻出することや、組織で管理職をするイメージが持てないというような回答もあるようでした。

これは、キャリアアップのタイミングがどうしても妊娠出産と被ってしまう女性特有の問題があるのと同時に、日本にはまだまだ性役割意識があり、女性が家事育児、介護を担うといった考えが女性、男性双方にあることが多いのです。

そういったことも含めて、女性については、出世をすることが、自分の望む生き方とイコールでないという側面もあるのかもしれません。

これは、言葉だけを見ると、自分の望む生き方が多様化しているようにも見えますが、一方で、日本にある性役割意識が「そうさせている」可能性も否定できないのではないかと思います。

つまり、家事育児、介護をしながら家庭を守ること、家族に囲まれて家族の帰りを待つ生活が、女性として幸せであるという昔ながらの性役割意識が、そもそも無意識的に女性の選択肢を制限している可能性があるということです。

新入職員だったころに、自分らしい生き方をしたい、とキラキラ考えていたことが、家庭を持つタイミングになると随分と画一的な価値観に収まってしまっているのかもしれません。

2 社内で出世しないで生き残っていく方法

では、出世しなくてもよいキャリアとして考えた時に、何が必要になってくるでしょうか。

出世をしないということは、その職場にいるにせよ、転職するにせよ、例えば役職のない仕事を担当することになります。その場合に考えられるリスクを考えてみたいと思います。

出世をしたくない理由が、今の慣れた業務から離れたくない、楽しい今の仕事を辞めたくないということもあるでしょう。

この場合、大きな職場であればあると思いますが、配置転換のリスクはあると思っているとよいでしょう。

そうした時に、出世することで配置転換を避けることができる可能性もありますし、一方、出世したくない気持ちがそれより勝る場合は、配置転換もやむなしということになります。

慣れた業務から離れたくないというのは、諸刃の剣であることが判ります。

一方、会社の経営的な判断でリストラをしなければならない場合、会社は、「できるだけ必要な人には残ってもらい、戦力にならない方には去ってもらいたい」となるわけです。

その為、会社に「役職者でないけど、大事な人」と思ってもらう必要性があります。

上記のようなリスクがあることから、出世しなくてもよいキャリアということになると、十分な専門的スキルと、十分なポータブルスキルがあることは、そのキャリアを保持するために、必要であり、なおかつ強力な武器となります。

つまり、専門的なスキルがあり、どんなところでもしっかり働くことができる方は、会社としては非常に重宝しますので、手放したいと思わないのです。

そういうスキルをコツコツ構築していくことで、自分らしい生き方を重要視しながら働き続けることが可能になると思われます。

3 社外に出て出世しないで生き残っていく方法

転職をして出世しないで生き残っていく方法はあるでしょうか。

昇格の打診があると退職してしまう方というのは一定数いらっしゃるのですが、一定以上の年齢を超えると、そもそも、転職しづらくなっていくのも現状ですので、長期的な戦略も必要です。

また、これは社内・社外に関わらず現在持っている専門的スキルが今後もずっと必要とされるスキルかどうかについても検討する必要性があります。

社会はどんどん変わっていますので、AIに置き換わっていってしまう業務や、必要とされなくなってしまう業務があります。

情報収集をして、徐々に置き換わらない仕事・技術・知識等を身に着けたり、あるいは、現状の職場でも置き換わらない部分を担当するなどの工夫が必要になってきます。

現在の会社で必要とされている仕事が、転職先の同様の業務で同じように必要とされるかも不透明ですので、その点も含めて転職活動をしていくことが必要になってきます。

一方、非常勤勤務あるいは業務委託という働き方の場合は、その必要な業務ができれば雇用され続けることができるため、企業としては非常に貴重な人材になることが可能です。

それには出世する、ということが必要ない場合が多いため、場合によってはそのような働き方の変更も必要かもしれません。

しかし、非常勤や業務委託という働き方は、一方で会社の業績により突然の雇用契約打ち切り、ということがあり得ます。日本は、正規雇用の方を会社都合で簡単にやめさせられない法制度を持っていますので、同じスキルであれば、正規雇用の方を守り、非正規雇用の方の契約を更新しないなどの方法を取られることが多いからです。

いかがでしょうか。

出世したくない、というのは一見「やる気がない」人のように見えてしまうかもしれませんが、あえてそういう生き方を選ぶという選択肢が出てきたことはいい面も非常に多くあるように思います。

今は、自動化・効率化が進んでいる一方で、「働く人が不足している」という状況も根強く残っていますので、その中で自由度高く働く方法は、まだ残されていると言えるでしょう。

しかし、努力をしたくないから出世したくない、責任を負いたくないから、出世をしたくないという方は、そういう生き方については、出世とは別方向の努力が必要になってくるので、自分自身がどの方向性であれば「頑張れる」のかについては、一旦立ち止まって考えてみるのが良いでしょう。

画一的な価値観でなく、多様化して、働き方も、生き方も自分が選択をしていくという世界になることは、様々な価値観の存在を許容する懐の大きい世界であることを信じています。そして、それを叶えるための努力は、何物にも代えがたい価値があると思っています。

キャリアコンサルタントというと、高いキャリアに向かっていくことを推奨されそう……なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私自身は多様な価値観があり、多様な働き方があり、そういったその人個人の価値観についてしっかりサポートしていくことを重要視しています。

まずは、自分自身がどのように働きたいと思っているかについて、しっかり考えてみるのはいかがでしょうか?

まずは相談したい、という方は、是非お問い合わせください。
https://maruzono.com/contact/

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