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女性のキャリア形成における男性の役割とは?

女性のキャリア形成における男性の役割とは?

女性のキャリア形成における男性の役割とは?

女性のキャリア形成については、ライフイベントと切っても切れない関係があります。妊娠や出産、育児などは、まだまだ日本では母親が中心になっていますし、メインで育児を頑張っている母親には何も称号がないのに、父親には「イクメン」といった称号が与えられます。

共働き家庭であれば、「ワーママ」と「イクメン」でしょうか。この名称を見ると、女性はママが主体でワーキングが付いてくるイメージで、男性は仕事がメインで、育児に積極的に関わっているニュアンスがあるように思います。

主たるものが違う、そう感じてしまう部分があります。

もちろん、この称号はいわゆる「イケメン」から派生したものであることでしょう。

家族の最小単位が夫婦であり、また、結婚という大きなライフイベントと、その後の家庭の運営をしながらの女性のキャリア形成を考えた時、夫の関わり方を考えないわけにはいかないでしょう。

今回は、女性のキャリア形成における男性=夫の役割について考えてみたいと思います。

1 なぜ、夫の役割が重要なのか

女性のキャリア形成については、様々な転機があります。その中でも、ライフイベントの影響の受けやすさという意味では、女性は男性の比ではないのは、感覚的にもご理解いただけると思います。

女性のキャリアについて、特に時間制約の部分では家庭・育児とのバランスを夫婦や周囲のサポートとで調整をする必要があり、その一番重要な分担相手は夫になります。

朝の準備や、帰ってきてからの家事、急な子供の発熱への対応、予防接種や、どんどん変わるおむつや洋服のサイズ、そういったものの管理や意思決定、実施なんかもすべて女性がやっていては、時間の制約以上の制約を受けてしまうでしょう。

夫が家事育児を母親同等に担えれば、女性の時間制約はかなり自由が利くことになります。しかし、日本では「夫は外で働き、母は家庭を守る」といった価値観が形成されており、結婚し子供ができれば「頑張って(外で)働かないとな!」「ますます頑張らないとな!」となってしまいます。

また、周囲の同僚との成績や出世争いのようなものもありますので、家庭に時間を取られることは、その土俵から降りることを意味し、どこかおいていかれるような気がしてしまうというところもあるでしょう。

そういったところに抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。

家庭に入ることがしっかりと選択肢に入っている女性と違い、「日中家にいる」「早く帰る夫」は、社会的に居心地が悪いというのも現状なのです。

例えば、最近は改善しつつあると思いますが、商業施設のトイレでも、男性用のトイレにはベビーシートもなかったり、個室の中に一緒に赤ちゃんと入るようなことができない施設であることも多いのです。

男性の育児参加が言われるようになってかなり経つと思いますが、それでもまだまだ、ハード面の整備も追いついていないと言えると思います。

女性のキャリア形成にとって、夫の家庭・育児への積極的な参加は欠かせないものですが、ハードもソフトもまだ十分に、それが可能な社会になっているわけではないのです。

2 夫が使える制度、使ってほしい制度

男性が家事・育児にしっかり参画できるようにするためには、使用できる制度について、会社とよく相談をすることが重要です。できれば、就業規則を確認したり、人事部と相談をしながら、使える制度を調べ、どう使っていくかについて検討していく必要性があるでしょう。

状況によっては、全ての制度をしっかり使うよりも、部分的に使用をしたりすることの方が総合的に良い場合もあります。

この項では、制度についてご紹介しますので、ご確認いただき、是非ご夫婦での検討材料にしてください。

・育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休暇中の給与が支払われない場合に、労働者が雇用保険から受け取れる手当で、子供の出産当日から1歳の誕生日を迎える前日まで育児休暇をとれ、給付を受け取ることが可能です。

給付金の額は、出産から6か月目までは、育児休暇取得前の給与の約67%、その後1歳までは50%が2か月に1度振り込まれます。

・パパ・ママ育休プラス

育児休暇は基本的に、子供が1歳の誕生日を迎える前日までの間に取得できる休暇ですが、共働きで両親ともに育児休暇を取得する場合に利用できる制度がパパ・ママ育休プラスという制度で、1歳2か月までの期間に切れ目なく休業することも、同時取得することも可能です。

・2022年度の法改正によりできるようになった制度

出産直後に男性が育休を取りやすくするために、産後休暇の8週間の間に、4週間の休暇が取得可能で、尚且つ2回に分けて取得が可能になりました。その為、繁忙期があり、その時期は休みが取りづらい、という方も、育児休暇を取得しやすくなります。

もう一つ、休業中も一定量働いてもよいという制度ができました。生後8週間であれば、育休取得日数の半分を上限に、仕事をすることが認められたのです。テレワークがこれだけ普及していることを考えると、取得を促す効果と、家庭を経済的に支えることができる制度になります。もちろん、労使協定も必要ですが、実際には厚生年金保険料などの支払いが免除されることもあり、実際の支給額は8割程度保障される形になります。

男性の育児休暇の取得率は、令和3年度の時点で13%程度で、政府の目標は、令和7年度の時点で30%の達成になります。しかも、現状では女性の9割が6か月以上取っている一方、男性は2週間程度の短期間の取得が半数以上であり、取得期間は短いと言えます。

厚生労働省の報告では、「男性・正社員」について、出産・育児のために育児休業制度の利用を希望していたが、利用しなかった割合は37.5%とされています。育児休業制度を使わなかった理由としては「収入を減らしたくなかったから」、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」、「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」が多くなっていました。

家庭によっては、男性が収入を減らさないことの方が重要であることもあると思いますので、絶対に育児休業を取らなければならない!とは言えないと思いますが、どちらにせよ、社会及び、組織の理解は進んでいく必要性はありそうです。

このように、使える制度は徐々にですがそろってきており、国全体として男性の休暇取得を促進する流れになっています。

3 資生堂ショックからみる多様化する社会への適応

2014年に、天下の資生堂が、ビューティーコンサルタントと呼ばれる化粧品販売員の女性社員に認めていた通算5年にもわたる育児休暇や、夕方5時までの勤務などを、綿密な面談の元、遅番や土日のシフトにも入るように大きく舵を切ったのです。

ビューティーコンサルタントの忙しい時間である会社帰りの客足の延びる夕方や、土日に勤務に入らないことは、女性同士での軋轢を多く生んおり、また、これはどこの組織でも一定程度あることではないかと思います。

これは、社内の軋轢もありますが、「女性が多い会社ばかりが負担を強いられる」ことへの反応であった可能性もあるのかな、と考えています。

日本の従来の価値観を考えると、子育てに関する支援を受けるのは女性で、支援をするのはその女性が所属する会社ですので、そういった方が多ければ多いほど、企業の負担は増えていきます。

逆に、支援をする機会の少ない会社は、今まで通り働き盛りの従業員に思い切り働いてもらうことも可能です。

特に男女数の構成比差や企業体力の要素も関わってくると思うので一概には言えませんが、制度を拡充して企業努力をする企業が損をしているようであれば、実際には社会全体が子育てする社会へ舵を切っていないということになります。

今後、男性がより家事育児に主体的に参加し、夫婦で協働して家庭を切り盛りできるようになっていく社会になるためには、社会全体が変わっていくようなムーブメントを起こしていく必要性があるでしょう。

今、その制度を使い、あるいは夫に使ってもらい、夫婦で協働して家庭を切り盛りしていこう、と決断したご夫婦は、そのムーブメントの一翼を担っていると思います。

キャリアは、「仕事」のことだけだと思われがちですが、実際には、家事育児をしていること、家庭の中の役割なども含めてキャリアと定義づけられています。

多様なキャリア形成をしていると捉え、過ごしていけると、また新しい見え方をするかもしれません。

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