アスリートは、自身が経験したことを次世代に伝えるために、コーチングや指導者として活躍することがあります。アスリート自身がトレーニングや試合で培った知識や技術を生かし、後進の育成に尽力することができます。概ね30％の方が選択しているようです。

アスリートのセカンドキャリアとしては、非常に想像しやすいものではないでしょうか。

競技生活を終えたアスリートは、メディアの世界でコメンテーターやアナウンサーとして活躍することができます。競技に関する専門的な知識や経験を生かし、視聴者に解説や情報を提供することが求められます。約20％程度の方が選択しているようです。

アスリートは、自身の経験を生かしてスポーツマネジメントやエージェント業務に携わることができます。競技生活を終えたアスリートは、現役時代に培ったネットワークや知識を活かし、スポーツ選手やクラブのマネジメントに携わることができます。約10％程度の方が選択しています。

アスリートは、競技生活で培った能力やスキルを生かして、ビジネスの世界で活躍することができます。自身の経験を生かしたスポーツ用品や健康食品の開発や販売、スポーツイベントの企画や運営など、多彩な分野で活躍することができます。約40％の方が選択しており、主流ともいえるでしょう。

ただし、スポーツや競技種によって割合には差があります。例えば、アメリカのフットボール選手やバスケットボール選手は、引退後にマネジメント・エージェント業をする選手が比較的多く、日本の野球選手はコーチング・監督業やメディア・解説者業に進む選手が比較的多い傾向があります。また、競技レベルや個人の能力やキャリアプランによっても違いがあります。

ビジネスといっても幅広いため、さらに細分化してご紹介したいと思います。
① スポーツ用品メーカーの経営
競技生活で培った経験や知識を生かし、スポーツ用品メーカーを立ち上げることができます。自身が使用していた道具や装備に改良を加えたり、新たな商品を開発することができます。
例えば、元オリンピック選手のマイケル・ジョンソンは、自身の経験を生かしてスポーツ用品メーカー「Michael Johnson Performance」を立ち上げています。

② 健康食品メーカーの経営
アスリートは、競技生活でのトレーニングや栄養管理に関する知識を生かして、健康食品メーカーを立ち上げることができます。自身が使用していたサプリメントや栄養ドリンクに改良を加えたり、新たな商品を開発することができます。
例えば、元NBA選手のカービー・ブライアントは、自身が経営する健康食品メーカー「Kobe, Inc.」を立ち上げています。

③ スポーツ施設の経営
アスリートは、競技生活で培った知識や経験を生かして、スポーツ施設の経営に携わることができます。例えば、トレーニングジムやフィットネスクラブ、スポーツアカデミーなどを立ち上げることができます。

例えば、元プロ野球選手のイチローは、自身がオーナーを務めるトレーニングジム「スペシャルトレーニングジム・イチロー」を運営しています。

日本のアスリートのセカンドキャリアで珍しいケースとしては、元プロ野球選手のイチロー選手が、プロ野球選手としての活躍と並行して、アーティストとしても活動している点が挙げられます。

イチロー選手は、2005年に、アート界で著名なアーティストである村上隆氏とコラボレーションし、個展「S1」を開催。自身が出演した映像作品を展示し、アーティストとしての才能も発揮しました。その後も、自身が撮影した写真の作品展示や、アートブックの発表など、アーティストとしての活動を続けています。

このように、スポーツ選手としての活躍だけでなく、異業種での活動も展開するイチロー選手の姿勢は、多くの人々に影響を与え、注目を集めています。


④ 医療資格を取得して治療・コンディショニングを提供する
引退後に、理学療法士や鍼灸師等の医療関連資格を取得し、自分自身が治療する側に回るというケースもあります。実際に自分自身がアスリートであったことなどは、大きな説得力になります。

⑤ スポーツイベントの企画・運営
アスリートは、競技生活で培った知識や経験を生かして、スポーツイベントの企画や運営に携わることができます。例えば、スポーツフェスティバルやスポーツキャンプ、大会の運営などが挙げられます。
例えば、元オリンピック選手のウサイン・ボルトは、自身が開催するスポーツイベント「Usain Bolt's Track and Records」を運営しています。

プロスポーツ選手を受け入れている一般企業は、以下のような業種や企業が挙げられます。

⑥ 製薬会社や医療機器メーカー
プロスポーツ選手は怪我やケガのリスクが高いため、製薬会社や医療機器メーカーでは、スポーツ医学に関する知識や経験を持つ選手を求めることがあります。また、製薬会社では、ドーピング検査などの業務に携わることもあります。

⑦ 自動車メーカー
自動車メーカーでは、プロスポーツ選手が商品開発やマーケティングに関わることがあります。特に、自動車メーカーがスポンサーとなるレースやイベントに出場する選手たちは、企業イメージやブランドイメージに大きく貢献することができます。

⑧ コンサルティングファーム
コンサルティングファームでは、競技者としての経験を生かして、スポーツビジネスのアドバイザーとして活躍することができます。また、コンサルティングファームが顧問する企業のスポンサー活動のサポートをすることもあります。

以上のように、アスリートは競技生活で培った経験やスキルを活かして、セカンドキャリアとして活躍することができます。競技生活を終えた後も、新たな分野で挑戦し、成長することができます。

競技生活と両立しながらセカンドキャリアを始める場合、競技に専念する時間やエネルギーが減少してしまう可能性があります。また、競技生活の終了時期が決まっていない場合、セカンドキャリアのプランニングが難しくなることもあります。

アスリートが競技生活で培った経験やスキルは、競技に特化している場合が多く、他の分野での活かし方が難しい場合があります。そのため、転職や新たなビジネスの立ち上げにおいて、新たなスキルの習得や経験の積み上げが必要になります。

セカンドキャリアを始める際に必要となる資金や人脈の不足も、アスリートにとっての難点の1つです。競技生活中に多忙であったために、資金や人脈の構築に余裕がなかった場合、セカンドキャリアを始める際に苦労することがあります。

アスリートは競技生活中、多くのメディアやファンから注目を浴びることがあります。そのため、セカンドキャリアを始める際には、それに対するプレッシャーも大きくなります。また、競技生活での実績によっては、期待に応えることが難しくなる場合もあります。

以上のように、日本のアスリートのセカンドキャリアにおいては、競技生活との両立や、スキルや資金、メディアやファンのプレッシャーなど、さまざまな課題が存在するため、成功するためには慎重なプランニングと準備が必要とされます。