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女性が組織の中でヒロインになるためには

女性が組織の中でヒロインになるためには

女性が組織の中でヒロインになるためには

組織の中で働いていると、どうしても理不尽な思いや、場面に遭遇することがあります。

ハラスメントと呼ばれることも、その中の一つでしょう。

ハラスメントは、様々な分類をされていますが、平たく言うと嫌がらせということになりますが、ハラスメントが横行しているコミュニティでは、精神的な健康度はどうしても下がってしまいます。

人によっては、休職や退職を余儀なくされることもあるでしょう。それでは、女性のキャリアも理不尽な形で途中で中断されたり、変更を余儀なくされてしまうかもしれません。

組織は、その組織を健康に保つために、様々な努力を必要としますが、このハラスメントについても同様です。

今回は、このハラスメントについての知識を簡単におさらいした上、組織の中で女性がどうふるまっていけばよいのか、について触れていきたいと思います。

1 ハラスメントとは

ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指します。

具体的には、属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることを意味します。

ハラスメントにはさまざまな種類があり、職場においては特に「セクシュアルハラスメント」「パワーハラスメント」「マタニティハラスメント」が大きな問題になっていますが、それ以外にもアカハラ、パタハラ、アルハラ、スメハラなど現状、いやがらせや尊厳を傷つける行為については、なんでもかんでも名前が付いているという状態でると感じる方もいるのではないでしょうか。

皆が働きやすくするために、どういったところに気を付けてやっていけばいいのか、その指針になっている一方、本当に何をどう進めていいのかわからないほど、問題が多いということもあります。

近年はハラスメントに関する法律面での対応が進められています。

例えば、パワハラは「労働施策総合推進法」、セクハラは「男女雇用機会均等法」、マタハラは「育児・介護休業法」などにおいて具体的なハラスメントの内容が示されいることをご存知でしょうか。

また、企業に対して「相談窓口の設置」といった防止措置を課しています。

しかし、それ以外のハラスメントに関しては実は厳密な定義が設けられておらず、判例などの積み重ねの中で、ハラスメントとして認定されている状態です。

こういった中で気になるのは、どういった場合はハラスメントとなるのか、ということではないでしょうか。

企業で問題となるのは、業務との関連性ということになります。

受け手が不快に感じるかどうかで必ずしも判断できるものではないことが、問題を複雑化しています。

業務上の命令や指導に対して受け手が不快に感じても、業務の適正な範囲で行われている場合にはハラスメントに該当しないからです。

過去の判例などから該当するかどうかの判断となるポイントは、基本的には「職務との関連性・業務上の必要性の有無」および「業務上、必要な範囲を逸脱していないか」ということになります。

例えば、「プライベートについて口を出すこと」は職務と直接関係がないため、ハラスメントに該当する可能性が非常に高いと言えます。

しかし、プライベートのことが明らかに業務に影響を及ぼしている場合は、また異なる判断になるでしょう。

また、「会議に呼ばない」「部下を無視する」「仕事を与えない」などの行為は業務上必要性がないので、明らかにハラスメントに該当すると言えます。

職務と直接関係があるかどうかの判断は、比較的容易ですが、難しいのは、「業務上、必要な範囲を逸脱していないか」の判断です。ベースとなるのが、厚生労働省がまとめたパワハラを巡る六つの行為類型です。

① 身体的な攻撃

これは、非常にわかりやすく、叩く、殴る、蹴る、モノを投げるなどが当てはまります。こうなると、ハラスメントという範囲ではなく、傷害罪等に該当するものもあると思います。

非常にわかりやすいので、見つけやすいというものになります。

② 精神的な攻撃

これは、身体的な攻撃よりはわかりづらいですが、昨今の流れの中では比較的わかりやすいものです。

たとえば、同僚の前で「ばか」「あほ」「のろま」「辞めてしまえ」「この仕事に向いていない」など言葉を毎日のように浴びせることを指しています。

ついつい口を出てしまうような場合もあるでしょうが、累積することで、ハラスメントと認定されることが多いということになります。

「いじっていただけ」などと言ってしまうと、攻撃だったのか、ふざけていたのかが不明瞭になりますが、「いじる行為」自体が業務に必要のないことということになれば、ハラスメントと認定されることについてもわかりやすいのではないでしょうか。

③ 人間関係からの切り離し

これは、一人だけ別室に席を移す、強制的に自宅待機を命じるなどといった行為が当てはまります。

これだけに限らず、意図して人間関係から切り離していこうとする行為が、業務の範囲外になるような場合に、ハラスメントであると認定されることになります。

④ 過大な要求

これは、例えば一晩では処理しきれない量の業務を命じる、仕事のやり方が分からない新人に、他の人の仕事まで押し付けて先に帰ってしまうなどの行動が当てはまります。

習うより慣れろ的な指導をしたり、背中を見て覚えろ、というやり方で指導をすることが常態化している場合は、そもそもハラスメントであると認識しづらい職場環境になってしまうことがあるでしょう。

しかも、こういう指導方法は、以前は当たり前に行われていたもので、今なお、こういった指導方針を持っているところも多いのではないでしょうか。

⑤ 過小な要求

逆に、過小な要求というものもあります。例えば、運転手なのに、草むしりだけを命じる、とか、事務職なのに、倉庫業務だけを命じるということもありますし、ベテランに明らかに新人でもできるようなことしかさせない、といったことも当てはまります。

昔、リストラ候補者にしていた退職を選ばせるために仕事を干す、といったことも、世が世なら、ハラスメントとして訴えられていた可能性もあります。

⑥ 個の侵害

これは、非常に線引きが難しいものになりますが、部下に交際相手について、執拗に問うことや、部下の配偶者に対する悪口を言うということも挙げられます。

セクシャルハラスメントなどでよくみられる類型ということになると思います。

オンボーディングするため、あるいは、各々のプライベートを一定程度把握しておくことで、業務上必要な配慮をするということもあると思いますので、限度や相手のNo-Goサインをしっかり受け取れているか、ということがポイントになるでしょう。

⑦ 逆パワハラ

逆パワハラは、ハラスメントの類型ではありませんが、ここのところ問題として急浮上しているものでもあります。

厚労省の定義によると、職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」を指しています。

なので、「上司から部下に対して行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間などさまざまな優位性を背景に行われるものも含まれる」とされています。

たとえ職位や社歴が下の立場であっても、現在の部署における経験年数や実績など、上司・先輩に対する何らかの優位性を“パワー”として嫌がらせに及ぶのであれば、それも職場のパワハラにあたるというわけです。

このケースをとくに「逆パワハラ」と呼んでいるのです。

数としては少数ですが、「部下から上司へ」が1.3%、「正社員以外から正社員へ」という事例も1.8%報告されています。

例えば部下が気の弱い上司や先輩に対してあからさまに反抗的な態度を示し、声をかけても無視したり、業務上の指示や指導に従わなかったりする場合、逆パワハラにあたる可能性があります。

特にIT業界などでは、知識・技術面で部下や後輩が上司よりも勝っていることが珍しくないため、こういったケースが散見されるようです。

また、ごく少数の正社員で非正規雇用のスタッフを管理しているような職場、例えば飲食店等は、パートやアルバイトに経験豊富なベテランが多く、彼らが働いてくれないと業務が回らないという弱みもあって、しばしば上下関係が逆転しがちです。

ハラスメントがこのようにたくさんあるのは、立場として強者である人から、弱者である人に対して、メンタル不調に陥るような事柄がたくさん、そして、日常的に起こっていたということでもあります。

なんでもかんでもハラスメントにするな!ということについては非常に共感できることですが、一方、今まで考えなさ過ぎた、ということでもあるのではないでしょうか。

日本は長らく終身雇用制度を保ってきましたから、職場は大きな家族と言ってもよいもので、甘えなどもあったのだと思います。

ハラスメントについてしっかり考えていくことは、働きやすい職場を作っていくためには非常に重要な改善の視点を授けてくれます。

今一度、自分自身が行ってしまっていないか、自分の置かれている環境はどうか、ということをしっかり振り返ってみてみましょう。

2 いじめとは

さて、職場ではハラスメント、ですが、学校でよく用いられる言葉として「いじめ」というものがあります。

平成25年に制定された「いじめ防止対策推進法」では、“いじめ”を次のように定義づけしています。

「いじめとは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。なお、起こった場所は学校の内外を問わない」(いじめ防止対策推進法第二条)」

要するに、“被害者が心や体に苦しさや痛みを感じたらいじめ”と定められています。

子どもたちが“いじり”や“ふざけ”と捉えているような行為であっても、対象の子どもが苦痛を感じている、「嫌だ」「つらい」「やめてほしい」と感じていたら、その行為は“いじめ”となることをこの法律は定めています。

よく、した方は覚えておらず、された方がいつまでも覚えている、といったことは、こういったところから起こっている認識の相違なのではないかと考えられます。

本人たちも、本当に「いじっているだけ」「ふざけているだけ」だったりするのです。

また、行為をされた子どもが仕返しされることを恐れて「自分はいじめられていない」と言った場合でも「いじめではない」と判断するのではなく、本当に苦痛を感じていないのか子どもの様子を観察・確認し、子どもの心と命を守る必要があります。そのための定義なのです。

よく、いじめに関してのニュースが出た時に、学校や教育委員会から出される「いじめを認知していない」「いじめだと捉えていない」「いじめはない」といったことも、この定義に照らし合わせると、本当にそうだったのか怪しい、ですよね。

国立教育政策研究所の調査で明らかになったのは、小学生の9割近くが仲間はずれ・無視・陰口の被害を受け、加害経験も同様の傾向であるということです。

これは、“誰もが被害者・加害者になり得る”、ということなのです。

また、しばしば“昔のいじめと現代のいじめは違う”といわれます。

現代のいじめは、悪質化・巧妙化しています。

外からは見えにくいネットいじめの存在、そして9割の児童生徒がいじめた経験といじめられた経験があるという調査結果は、いじめっ子といじめられっ子がある日突然入れ替わり、どこでも起こるという状況を表しているのです。

思い返してみると、私自身も「いじめ」を経験しています。加害者になった記憶はありませんが、これも、自分自身がそう思っているだけ、なのかもしれません。

また、自分自身が被害者になったこともありました。突然、中学の同級生の複数人から無視をされたのです。幸い、ごく少数だったこともあり、周囲に別の友人たちはいましたし、恐ろしく気が強かった私は、「無視をし返す」という方法で対抗していました。

でも、傷ついていなかったわけではないのです。突然、仲の良かった友人達に無視をされたことは、非常に衝撃的な出来事でした。

傍観者?であったこともありました。気の弱い男子生徒が、いわゆるスクールカーストの上位組から、いじめを受けていたようで、ある日、教室後ろにある掃除用具入れに入れられていたのです。その中からしくしく泣く声が聞こえている異常事態が起きていました。

友人からの無視に無視し返すほど気の強かった私は、その掃除用具入れを開け、本人をそこから出し、周囲には「下らないコトするな」といい、泣いている男子生徒にも「男なら泣くな」と、今思えばジェンダー感あふれる声掛けをしました。

その時のことは、その当時は大したことはないと思っていましたが、何十年もたった今でもその光景を鮮明に覚えているのです。

いじめは、被害者にならなくても、傍観者であっても、その人に大きな爪痕を残すんだな、と思った出来事です。

いじめについても、ハラスメントについても、明確に犯罪までとは言えない行為でも、人のメンタルヘルスに大きな影響を与えている、というのは、お分かりいただけるのではないでしょうか。

3 「be a hero project」というプロジェクト

ハラスメントやいじめについて、キャリア・メンタルヘルスという側面から非常に関心が高かったのですが、その中で出会ったプロジェクトがあります。

それが、プロ野球選手だった岩隈久志選手の賛同のもと、「一人ひとりがHERO になる」「科学でいじめのない世界をつくる」ことを目標に、いじめ撲滅のために全国で様々なイベントやセミナーを展開していくプロジェクトである「Be a hero project」です。

草の根の活動を続け、現在では全国の小・中・高等学校でこのプログラムを実践している学校が増えているそうで、その研修会に参加する機会を得ました。

ちなみに、HEROはHelp[困ったときは、助けを求める。困った人がいたら、助ける]、Empathy[相手の気持ちに共感する]、Respect[相手を自分と同じように大切にする]、Open-mind[広い心を持って、相手を受け入れる]の頭文字で構成されており、HEROメソッドと呼ばれています。

このプロジェクトは、科学的研究の成果を用いて、いじめについての正しい知識と方法を身に着ける研修会やイベントを開催しています。それが、いじめのない世界への第一歩だと信じて。

例えば、HPにはこんなことが書かれています。

・小学4年生から中学2年生の25%がいじめが原因で学力が低下した。(Beane,1999)
・8歳のときに攻撃的な男子は、大人になってから何らかの犯罪者になる確率が高く、さらに大学を終えたり就労したりすることが困難である。(Eron, 1987)
・いじめ被害による自己肯定感の低下によって、学力や社会的能力が下がる。(Ross,1996)
・いじめの被害者は当然、心理的な苦痛を受けるが、傍観者も同様であり、特にいじめの事実が起こっているときよりも、それが過ぎ去ってからになると、被害者と同じくらいの心理的苦痛を抱いている(Jansonら、2004)

これを読んで、皆さんどう感じますか?

その研修で、先ほど記載をした私自身の「いじめ」に関する出来事を思いだしたのです。

「幼児教育の経済学」という本でも述べられていますが、日本の教育は、古い慣習や伝統的な手法に強く紐づいており、科学的な検証が行われていないということが良くあるようです。

「いじめはダメ」ということだけでなく、なぜダメなのか、どうやったら解決できるのかを科学的に検証し、対策を練るということは、実は海外ではすでに多くの実践が積まれています。

4 組織の中でヒロインになろう

ここまで、ハラスメントやいじめについてご紹介してきました。

「be a hero project」については、研修会に参加することで「傍観者」であった自分自身の行動について、再度思い出し、次にやるべき行動について目を向けるきっかけになったと思っています。

組織の中では、それが意図されたものであるかどうかはさておき、様々な人が存在することで、いじめやハラスメントは起こっていくものであると思っていますし、ゼロにしていくことはなかなかハードルの高いものであるように思います。

しかし、一人一人がその問題を認識し、行動を少しずつでも起こすことで、組織は変えていけるし、より働きやすい組織になってしくのではないかと思います。

これを読んでいる方は、女性の方が少し多いかな、と思い、表題はヒロイン、ということにしましたが、組織の中で行動を起こし続けることは、受け身でなく、自分自身が能動的に組織づくりに関わっていくということになります。

その経験や、その行動は、周囲の人にまた別の影響を与えていくと思います。

誰かが変えていくのではなく、自分自身が組織を変えていこうとすることは、それこそ役職がなくてもできることです。

組織の中で、是非、ヒーロー・ヒロインになってください。

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