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女性のキャリアを不妊治療と両立しながら進む方法

女性のキャリアを不妊治療と両立しながら進む方法

女性のキャリアを不妊治療と両立しながら進む方法

不妊症というのは、決して珍しいことではなく、オープンに話をしてみると「実は私もやっていた」なんて告白してくれる人は案外多いものです。

出産年齢にある女性の8人に1人が、妊娠したり、無事出産にたどり着くことに困難を抱えていると言われています。これは、割合で考えると、乳癌と同じくらい一般的に見られ、2型糖尿病よりも多いと言われています。

しかし、不妊治療を行いながら、働き続けることは非常に大変さを伴います。

不妊症がなくても妊娠出産というのは期限付きのことですので、何を取捨選択していくのかについては、非常に悩むところでもあると思います。

私自身も働きながら不妊症の治療を受け、妊娠・出産に至りましたので、今回は私の経験をベースに、不妊症にまつわる困難さと、働きながら不妊治療を続けることの困難さや乗り越え方について、話を進めていきたいと思います。

不妊治療の6つの困難

不妊治療の大変さには、6つの困難があります。心理的な問題、身体的な問題、夫婦間の問題、お金の問題、いつ辞めるのかという問題、仕事とどう両立するかという問題です。

これは、同時多発的に複数抱える方もいますし、それにより、不妊治療が進められない、あるいは、退職せざるを得なかった、離婚した、などという結末になった方もいらっしゃることでしょう。

一つずつ、見ていきたいと思います。

1 心理的な問題

まず、心理的な問題です。これは、通常通り妊娠できないこと、あるいは、流産を繰り返してしまうことなどで、自分自身の身体に欠陥があるのではないかと考えて傷ついてしまうことがあげられます。

不妊症は実際には男女共に原因があり、原因がなくても相性の問題で妊娠できないというケースもあるのですが、世間的には不妊症は女性の問題であるという認識が強く残っています。

そのことで、例え男性に問題があっても、女性ばかりが責められてしまう、ということもあります。

妊娠・出産が命の根源的なエピソードであることから、よりそれができないことが心に負担をかけてしまうということがあると思われます。

2 身体的な問題

次に、身体的な問題です。

不妊治療の中では、採血や内診、ホルモン療法などが必要に応じて実施されますし、特に高度不妊治療になってくると、採血や内診は頻回になってきてしまいます。

その関係で、身体的な負荷がかかりますし、ホルモン療法は、体調不良等にも影響が出やすくなっていますので、余計に身体な負担がかかります。

これは心理的な問題でも、身体的な問題でも言えることであるが、他の人が発信しているブログやHPなどを気になって見漁ってしまうことがあります。もちろん、治療の方向や見通し、基本的な知識を身に着けるために必要な場合も多くありますが、あまりに体験談を見すぎてしまうと、自分自身がその情報に惑わされてしまったり、多くの時間を支配されてしまうなどの副産物があります。

なので、見るものや、見る時間などをしっかり区切って、自分自身を治療に支配されないようにした方が健康的な場合が多いように思います。

3 夫婦間の問題

不妊治療については、夫婦間でしっかり意識をすり合わせて行っていく必要性がありますが、どうしても女性側ばかりが頑張ってしまう、ということがあります。

男性側もどこか「女性に協力している」というスタンスを取りがちです。

それは、仮に男性側に問題があったとしても、治療のリズムを作るのが生物学上女性であることが影響しています。

タイミングが良い時に卵子と精子が出会わないと妊娠は起こりえず、それは女性側のリズムであるということがあげられます。

女性はたとえ自分に問題がなかったとしても、基礎体温を計ったり、ホルモン値を血液検査にて確認されるので、否応なしに自分事になってしまうわけです。

その為、理由がどこにあったにせよ、女性は自分事として不妊治療をとらえやすく、男性はそうでない場合が多いということになります。

もちろん、しっかりと治療に参加してくれる男性もいらっしゃいますが、それまでの家庭・過程の中で双方で話し合いや合意形成がなされているかは、夫婦関係においても、治療の継続性にとっても重要なことになります。

4 お金の問題

最近になって、不妊治療の保険適応について話が進んできましたが、基本的に不妊治療は自費診療であり、一周期の治療で数十万円の金額がかかることは「よくあること」です。

自治体により、助成金が出るところもありますが、例えば東京都でも世帯収入での制限があり、上限以上の世帯収入がある場合は、助成金を受け取ることができないということになります。

私自身も、高度不妊治療まで行いましたが、軽自動車が新車で購入できる程度の金額を費やすことになりました。それでも私自身は半年~1年くらいで妊娠に至ることができましたので、安い方なのかもしれません。

経済的に治療ができない、継続できないという方もいらっしゃると思いますので、子供を持ちたい夫婦がその願いをかなえられるようにより広く保険診療でカバーされていくとよいと願っています。

5 いつ辞めるのか問題

治療のゴールは妊娠できるということが一つですが、必ずしも治療をすれば妊娠できるというわけでもないので、残念ながら治療をしたが妊娠できないというケースもあります。

しかし、次は妊娠できるかもしれない、と思うと、なかなか治療が辞められないという声も多く挙げられています。

経済的な問題か、あるいは〇周期まで、など、区切りを予め設けていたとしても、この気持ちを振り切ることはなかなか難しいものです。

特に、今は情報を入手しやすいので、様々なブログやHPなどを見て、民間療法や食事療法も含めて可能性を少しでも多く得て、妊娠に至ろうとする方は多く、「治療を辞める」ということは、それまでの苦労や労力、お金、時間などを捨てるような気がしてしまうので、心理的にも「治療を辞める」ことに対して心理的なブロックがかかりやすいのです。

6 仕事の両立問題

最後に、仕事との両立問題です。仕事を持ちながら治療に参加する方は多くなっていると思いますが、不妊治療の中でも特に高度不妊治療と呼ばれる治療になると「明日午前中着てください」「1日おきにホルモン治療を受けに来てください」といったようなことはよくあることで、その為、急遽の休みをもらっていく必要性があります。

多くの場合、急な予定の変更や休暇取得は職場のその他スタッフに影響を与えることから、敬遠されることが多く、これが不妊治療を継続できない、あるいは継続するために離職をするといったことにつながりやすい要因になっています。

なので、最も多い要因としては、「診察予約」という点があげられます。

次に、この「診察予約」と連動して起こる、治療そのものを公表するかどうか、という点でです。

頻回に休みを取っていれば、周囲の方がいぶかしむのは当たり前といっては当たり前のことですので、公表した方が理解を得やすいというところもあるでしょうが、実際には非常にプライベートなことであることから、秘密にしておきたい、といった場合もあると思います。

先述のように、心理的な問題等もあり、自分自身にある問題点を公表したくない、特に非常にプライベートな要件であると特にためらわれるというのは当たり前のことかもしれません。

治療とキャリアの両立を目指すために

 治療とキャリアの両立については、非常にデリケートな部分が含まれるため、公表したり、相談したりすることがはばかれる方も多いと思います。

 ひと昔前であれば、長時間働けて、仕事を一番にできる人しか、出世しなかったり、重要な仕事を与えてもらえなかったりしましたが、徐々にその流れは変わりつつあります。

 限られた時間であっても、あるいは、事情があったとしても、いろいろな人が社会参加し、一緒に進んでいける、目標達成できるようにしていくことは、組織の力を強くすることにもつながることを、皆認知し始めているのです。

 これは、不妊治療だけでなく、癌等の継続した通院、あるいは入院等の治療が必要な疾患がある方々も同様ですし、育児休暇や介護休暇など、時間制限が生まれやすい方々も同様で、そういった方々がそれぞれの力を出すことで、よい成果を生み出していく方向性を模索していく必要性があります。

 その為、権利を主張する、ということではなく、どうやれば一番目標達成をしやすいか、その為の時間や労力をかけることができるかを検討する必要性がありますので、是非、相談をしてみてほしいと私は考えます。

 その場合、以下の点について、一定程度明確にして相談ができるとよいでしょう。
  ・治療の視点で自分自身の現状と目指す目標
  ・キャリアの視点で、自分自身の目指す方向性
  ・必要な支援や配慮
  ・こういった視点を検討することで、組織にとってプラスになることの情報

 キャリアの視点で考えると、不妊治療の場合、成功した場合はさらに次は妊婦になっていくわけですので、キャリアプランの再検討は確実に必要になってくるわけです。しかし、デリケートな部分である中で、なかなか上司から踏み込みづらく、ここでミスコミュニケーションが生まれやすくなります。

 現在、正社員で仕事をされている方であれば、是非、治療の視点とキャリアの視点で自分自身の現状と目指す目標を上司と共有し、その為に必要な支援や配慮について、一緒に検討してみてください。

 この検討そのものが、その他疾患等で時間制限がある方々の両立支援になりますし、蓄えた力は組織の力に確実になっていきます。現在は、このような両立支援をし、ただでさえ人口が減少していく日本で、社会参加出来る人達を少しでも増やそうと、厚労省をはじめとした中央官庁も様々な取り組みをしています。

 それらを参照にし、自分自身の環境を整えていく一方を踏み出せるとよいかもしれません。

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